モーターヘッドバンガーズの日記

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【Motörhead】『Overnight Sensation』 20周年

モーターヘッド 『オーヴァーナイト・センセーション』

 モーターヘッドの13作目となるスタジオアルバム『オーヴァーナイト・センセイション』(Overnight Sensation)が1996年にリリースされてから今日10月15日で20年を迎える。

 前作『サクリファイス』(1995年)がリリースされた後、ギタリストのワーゼルが脱退し、バンドはレミー(vo/b)/フィル・キャンベル(g)/ミッキー・ディー(ds)のトリオ編成になった。ツインギターの4人編成もよかったが、モーターヘッドというバンドはやはりトリオ編成がよく似合う。以降、このメンバーで2015年12月まで活動した。
 本作はトリオ編成になって初のアルバムで、ワーゼルが脱退した影響か、フィルのギターワークが目立つアルバムとなった。

サウンド
 前作『サクリファイス』では低音を強調したリフやハードコアナンバーが目立ったが、今作はストレートなロックンロールナンバーが中心となっている。とはいえ、単なるロックアルバムではなく、モーターヘッドらしい、ハードでドライブ感のあるナンバーが揃っている。
 また、サウンドについても、前作が音の塊のような轟音が渦巻くサウンドだったのに対して、今作では音の分離がよく、ボーカル、ギター、ベース、ドラムがそれぞれよく聴こえ、クリアなサウンドが印象的だ。

 メタルサウンドというのは、大きく分けて2つある。『サクリファイス』のように各パートのバランスは悪く、何をやっているのか分かりづらいが、それぞれのサウンドが塊(轟音)となって、リスナーに襲い掛かるような、迫力あるサウンド。それに対し、『オーヴァーナイト・センセイション』のように各パートがバランスよくクリアに聴こえるが迫力に欠けるものだ。

ギターサウンド
 モーターヘッドのアルバムの中でも本作におけるギターサウンドは特にいい音で、レミーも自伝の中でそのことについて触れている。
 そのギターサウンドは、しっかりと歪んでいるにもかかわらず、音の輪郭がはっきりとしていて、歯切れが良く、厚みのある中域が特徴だ。
 プロデューサーのハワード・ベンソンとは『バスターズ』(1993年)以降、本作で3作目となるが、彼はモーターヘッドというバンドの持ち味をうまく引き出していた。ただし、本作では共同プロデューサーのデュアン・バロン(オジー・オズボーンの『ノー・モア・ティアーズ』のプロデューサー)が主に指揮したという。

収録曲
 さて、収録曲だが、「シヴィル・ウォー」のスネアイントロで勢いよく幕を開け、「クレイジー・ライク・ア・フォックス」でさらに飛ばす。ここではレミーがハープを披露している。「アイ・ドント・ビリーヴ・ワード」でテンポチェンジした後、パンキッシュな「イート・ザ・ガン」で再び飛ばす。5-6-7とミドルテンポが続くが、8曲目の「ゼム・ノット・ミー」はミッキーのツーバス全開の高速ナンバーで、ザクザクしたギターリフも心地よい。その次の「マーダー・ショウ」はギターリフが引っ張りつつ、力強いダウンピッキングでグイグイ突き進む。「シェイク・ザ・ワールド」はミドルテンポだがツーバスが効果的に用いられていて、邪悪な雰囲気が漂う。ラストはアコ-スティックの「リッスン・トゥ・ユア・ハート」で締めくくられる。

 歌詞では、少年犯罪と更生指導、銃社会、政治家や国家権力批判、劇場型殺人事件といった社会問題をテーマとする一方で、女性を追うことや自己流の生き方といったレミー流ライフスタイルも歌われた。「リッスン・トゥ・ユア・ハート」は自分の心に耳を傾け、それに従い行動することを歌っており、それはレミーが発信し続けたメッセージのひとつである。
 ライブでは、「シヴィル・ウォー」、「オーヴァーナイト・センセイション」、「ブロークン」が披露された。この頃のモーターヘッドのライブは、スピードとパワーを兼ね備えたバンドアンサンブルが特徴で、そこにはツアーバンドとしての経験値が表れていた。

1996-1997年ごろのモーターヘッド
 このアルバムがリリースされた頃のモーターヘッドというと、その人気は低迷しており、新作がリリースされても話題にならず、音楽誌に登場することもなかった。また、当時はインターネットが普及していなかったので、バンドの情報はほとんど入ってこなかった。(実際、筆者はこのアルバムをたまたま入ったCDショップの棚で初めて知った)
 そんな中、話題となったのは「レミーがヒゲを剃った」ということだった。その姿はアルバムのジャケット写真でも確認できる。

 人気があろうとなかろうと、レミーにヒゲがあろうとなかろうと、バンドはいつものようにオン・ザ・ロード生活を続け、世界中を回った。96年に73本、97年には78本のライブを行い、バンドとしての「スキル」と「魅力」に磨きをかけた。97年5月には4度目の来日を果たした。
 このトリオ編成でレミーが亡くなるまで活動を続けたが、その約20年の道のりはここから始まった。レミー/フィル/ミッキーによる「後期モーターヘッド・サウンド」の原点はここにある。



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